この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 掴まれた私の手は、それよりひとまわり大きい利勝さまの手に包まれて。


 冷えた背中とは正反対のその熱さに、また 涙がこぼれた。


 ………あたたかい。


 ちゃんと生きてる温かさ。命の温かさ。



 「………あにうえ」



 利勝さまの手に、力が込められる。



 「兄上……っ」



 強く握られた痛みは、利勝さまの心の痛み。


 いいえ。


 利勝さまの痛みは、きっと私が想像するより、はるかにつらい。


 もっと。もっと強く握ってください。
 そして その痛みを、私に分けてください。


 利勝さまの背中が、小刻みに震える。
 その口から鳴咽が漏れる。



 「……兄上……っ。兄上っ!兄上ぇ!! なんで死んじゃうんだよ……!! なんで帰ってきてくれないんだ!!
 なんで……なんで……っ!! ちくしょう……!! ちくしょうっっ!!! 」



 ――――吐き出された言葉は、

 私の胸をさらに締めつけて涙を溢れさせる。

 心に流れ込んでくる、利勝さまの想いがせつなくて。



 大好きな兄上さま。



 雄介さまを見上げる利勝さまのお顔は、いつも紅潮した頬と輝いた瞳に満ちていたことでしょう。



 憧れの人。尊敬してた人。
 そして 自分を一番 理解してくれた人。



 もう いない。
 この世のどこにも。



< 216 / 466 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop