この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
私は目の前に座る兄さまをチラリと窺う。
けれども 兄さまは、知らんぷりしたまま黙々と箸を運ぶ。
「兄さま……、申し訳ありませんでした。あの……本当に反省してます。あの……」
もごもごと 口の中で謝る私に、
「まつにもちゃんと謝れ。まつだって、お前のことをずっと案じていたのだぞ」
兄さまは私の言葉をぴしゃりと遮る。
私は運んできた膳を置くまつに向き直った。
「まつ……本当にごめんなさい。もう決して、皆に心配かけないと誓うから……」
深々と頭を下げて謝る私に、まつは驚いた表情を見せたあと、ふふふっと笑った。
「ゆきさまは 八十治さまのお言いつけなら、何でも素直にお聞きなさるのですね」
「ちがうわ!私は本当に、まつにも申し訳ないと思ったから!だから……!」
「はいはい、わかっておりますよ。
そのお気持ち、まつはちゃあんといただきましたよ?」
ついムキになってしまう私に、クスクスと控えめに笑いながらまつは言ってくれた。
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