この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 先頭はすでに濃霧に隠れて見えなくなっていた。

 草色は見当たらない。

 あいつのことだから、勇んで先頭にくっついて行ったのかもしれない。

 つい ため息が漏れた。



 「おい、八十治?」



 肩に手を置く俊彦の声に促され、重い足を前に出そうとする。


 その瞬間 後ろから、反対側の肩を強く叩かれた。


 振り返った俺の視界に飛び込んできたのは―――草色。



 「行くぞ八十!遅れるな!」


 (―――雄治……!)



 まっすぐ前だけを見つめながら雄治は強く言う。

 その横顔が、なぜか目に焼きついた。



 「………ああ!」



 一歩、足を踏みしめる。
 その足が軽くなったように思う。


 不思議だ。


 さっきまで重かった身体や心すべてが軽くなった気さえする。


 身体中に力が湧いてくる。



< 370 / 466 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop