この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 「ところで、どうしてあんなところに、ひとりでいたの?」



 最後のお饅頭をひと口かじると、さき子さまが尋ねてくる。



 「そういえばおゆきさんは、ほとんど外出したことがないと申していたわね。それなのに、供もつけずにひとりでどうして?」



 くら子さままでそう尋ねてくるので、迷ったあげく、私は思い切って打ち明けることにした。


 それは以前お使いに出たおり、今と同じように道に迷い、困っていた私を助けてくれた男の子がいたこと。

 そして。

 名前は出さなかったけど、その男の子が日新館に通ってること、

 私と言葉を交わしたことで、迷惑をかけたこと。

 直接お礼を伝えたかったのに、兄とのやりとりで
 すべて済まされて納得がいかないことを、おふたりに話して聞かせた。



 「なるほどね……」



 おふたりはそろって、吐息を漏らす。



 「兄はもう済んだことだと、その方のことは何も教えてくれません。
 意地を張った私がいけないんでしょうけど。
 でもどうしても、もう一度会ってお詫びしたいのです。

 それで今日も、兄に内緒で家を出てきたのですが……」


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