青色キャンバス
「まぁ、片想いですけどね」
自嘲するように笑ってため息をつく。
多分、先輩が俺を恋愛対象として見る日は来ない。
それでも…それでも俺は…
「どんな形でもいいから、先輩の傍にいたいんです」
「お前でも落とせない女って…何者だ?」
志賀さんの言葉に笑ってしまう。
「本当、いい女ですよ」
「はぁ、お前の口からそんな言葉が出てくるなんて…」
ちょ、この人俺の事何だと思ってたわけ?
「その子に相手がいるのか?」
相手……か……
「あぁ、いたってほうが正しいよ。いたんだけど、もういない」
手の届かない場所にいる。
だからこそ敵わない……
「何だ、訳ありか?」
「彼氏、死んでるんですよ。彼女、まだそいつの事好きなんです」
「…辛いな」
辛い………か…
そうだよな、先輩辛いよな…
俺も、先輩がいなくなったらって思うと苦しい。想像だけでこんな辛いなら、実際に体験した先輩はきっと死ぬほど辛かったはずだ。
「先輩、すごく辛かったと思う。ずっと一人で苦しんで来たんだと思います…」
だからきっと人を遠ざけてきた。でも完全に絶ちきる事は出来なくて…
「その子が辛いのもそうだが、辛いのはお前もだろ」
「俺…ですか?」
「いいか、死んじまった奴を想ってる女の心ほど簡単には変えられない。もしかしたら永遠に報われないかもしれないんだよ。それでもお前、耐えられるのか?」
耐えられるのか……?
あの絵を見ただけで敵わないって落胆して、他の男のせいで泣く先輩を見て悔しくて、苦しいのに……
先輩を好きでいられるのか……?
いや、好きでいられる。
だって…叶わなくたっていいんだ。
傍にいて、せめて先輩の人生が孤独じゃなければいい。
「…俺、それでも先輩の傍にいたい…」
それが俺の望みだ。
「…頑張れよ、佐久間!
お前、カッコイイじゃねぇか!」
―バシッ、バシッ
志賀さんが俺の背中を加減なく叩く。
「ちょ、痛いんですけど!」
「まぁまぁ、頑張れ!てかもう上がれ、心配事があるんだろ?」
「志賀さん………」
やば、まぢ志賀さん良い人!!
「ありがとうございます!」
「おうおう頑張れ少年!」
なんか子供扱いが勘にさわったが、今回は聞き流す。
俺は早めにバイトを上がった。