青色キャンバス
「…お兄さん、その手離してくんない?」
「あ、いてててて!!」
……え……?
私の腕から手が離れる。
私はゆっくりと目を開けた。
「俺のだから、勝手に触るの禁止。次はねぇから、さっさと消えて」
見覚えのある茶色いくせのある髪。
目の前にある背中は頼もしくて涙が出た。
秋君……
秋君が来てくれた…
もう大丈夫、そう思えた。
「…チッ…男連れかよ!」
男が逃げるように走り去る。秋君が不機嫌そうな顔で私を振り返った。
「先輩、何絡まれてんの?」
「あ…ごめん……?」
「先輩、油断しすぎ。はぁ、まぁ俺が悪いか…」
秋君は一人でブツブツいいながら私に手を差し出した。
「先輩、携帯貸して?連絡先交換しよ」
「あ、うん」
携帯を渡すと秋君が軽く操作をしてまた私に携帯を返した。
「佐久間 秋で入ってるから。先輩は真白 雛…か」
秋君は携帯をポッケにしまうと、私の手を握った。
「あ、秋君!?」
「虫よけ。先輩可愛いからすぐたかられちゃうでしょ?」
虫よけって……
私なんか誰も口説かないよ…
さっきのもたまたま…