青色キャンバス


「…すごい!!」


一歩お店に入った瞬間、驚きの声を上げる。


豊富な画材。
家の近くにある画材屋さんとは比べものになんかならない。


筆も絵の具も種類が沢山ある。


「お気に召しましたかな、お姫様?」

「うん!うん!!すごいよ!」


もっと早くこのお店に出会いたかったくらい!


絵の具の種類があればあるほどもっと細やかで鮮やかな色調を出せる。


来て良かった!!


「ぷっ…くくっ……」


秋君のおふざけも聞き流すほど興奮する私を見て秋君は吹き出した。


「むっ!」


口を押さえて笑う秋君を軽く睨む。


「ごめんって。ただ…」

「ただ?」


むくれながら秋君の言葉を待つ。



どうせ子供みたいだとか言うんだろうな…


わかってるもんそんなの!



蛍ちゃんにも良く言われてたし……


よく画材を一緒に買いに行った。画材に目移りする私を秋君は良く「ガキか、お前は…」って呆れてたっけ…



でも最後にはいつもこう言うんだ。



『そんな雛が可愛い』

「そんな先輩が可愛い」

「っ!!!!」


―ドクンッ


あ…今秋君なんて……?


秋君の言葉と蛍ちゃんの言葉が重なった。


聞き間違い……??





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