青色キャンバス
秋君………
冗談だと思ったのに…
全力で走っていく秋君の背中を見送る。
「なんで…優しくしてくれるの……?」
私といたら秋君も…
秋君もいなくなっちゃうかもしれない。
大切な人がいなくなるのはもう嫌なのに…
風が冷たい。
青空を見上げて手を伸ばす。
「蛍ちゃん……」
この手が蛍ちゃんに届けばいいのに…
そしたらもう二度と離さないように抱き寄せて欲しい。
私の今生きる時間も、家族も友達もこれから生きるであろう未来も…
全て捨ててもいい。
私にとって蛍ちゃんがいない世界に意味なんて無い。
全てを捨ててでもあなたが欲しい。
蛍ちゃんの傍にいる事を選ぶのに…
神様はその選択すらさせてくれない。