重なる身体と歪んだ恋情
八重の店に行く途中、店によってワインとチーズを買う。

そして車は彼女の店の前に。

ここは駅から近い。だから、


「今日はここで。お疲れ様でした」


そう伝えると緑川は、


「それでは失礼いたします」


と恭しく頭を下げて私を見送った。

店の裏口に着いた頃、車の走り出す音が聞こえる。

本当にどこまでも律儀な男だ。

そこの鍵を開け店内に。

店内明かりはない。

けれど明るすぎる月の光が窓から入り込んで、


「遅かったわね」


彼女を照らしていた。


「仕事は予定通りに終わらないものなんだよ。そんなことは君のほうがよく分かっているでしょう?」


そう言うと、


「ズルイ人ね」


妖しく唇で弧を描いて微笑んだ。
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