重なる身体と歪んだ恋情
「ワインを買ってきました。一緒にどうですか?」
コトリとテーブルの上に奥と八重は「素敵」と口にして部屋の奥へ。
そして両手にワイングラスを持って現れる。
「これはスイスのチーズです。口に合えばいいのですが」
「それはあなた次第」
そう言って八重は唇を寄せてきた。
だからといってキスはしない。
「今日はドレスの相談、でしたね」
「えぇ、そうよ。デザイン、見たい?」
「勿論」
私の声にクスリと笑ってグラスを奥と今度は店の方へ。
だから私は傍の椅子に座りワインを開けてグラスに注いだ。
甘くも透き通るような香りが鼻を抜ける。
色は深いボルドー。
月の光の力も借りてゆらりと妖しく揺れる。
それをそっと口にしたとき、
「こんなのはいかが?」
八重が現れた。
先ほどとは違う衣装で。
胸の谷間を強調し、歩くたびに太ももが見えるような深いスリット。
まるで娼婦。
「似合ってるよ」
君には。
私の褒め言葉に微笑む八重。
「けど、彼女には無理だ」
そう言ったのに、八重は微笑んだまま私に近づいて椅子の肘あてにそっと腰をおろす。
片方の足が上げられた状態で白い太ももが月の光に照らされて。
「ならどんなのがお好み?」
私を誘うように上から見下ろす。
この状況は好きじゃない。
寧ろ不快だな。