重なる身体と歪んだ恋情
如月司。

こいつとは学生の頃からの付き合いで。

両親を一度に失ったときうちで働かせてくれと私の父親に頭を下げた。

何をどう気に入ったのかは知らない。

父親は迷うことなく司を会社で働かせた。

学校が終わった後の時間だけ。


「勉強をして損なことは何も無い。若いうちは詰め込めるだけ詰め込んどけ」


そう言って笑った父が司に何を期待していたのか、私には皆目分からない。

が、司は夕方からの仕事だというのに遅くまで働いていたらしい。

だから学校に来れば居眠りばかり。

にも関わらず学年主席の私と対を張っていたのだから頭が切れるのは誰よりも知っている。

頭が固いのも。


「奏、君がどうして千紗様を妻に迎えたのか分かってるつもりだ。けれどまだ彼女は――」

「処女だ」

「はっ!?」


私が司と呼んだからなのだろう。

司も私のことを奏と呼ぶ。

これでも学生の頃は仲良かったのだ。

父親が彼に目をかけるまでは。


「彼女は処女だと言ってる」

「何を言って」


ほら、たったこれだけで司は動揺を隠せない。

初心な男だ。


「妻といっても手も出していない。彼女は頑なに私を拒んでいるしな」

「それは奏がっ」

「拒む女を抱くほど女には困っていない。だからといって女を抱きたくないわけじゃない。それなら外で性欲を満たすしか無いだろう?」


さらりとそういえば司は言葉を失って口をつぐんだ。
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