重なる身体と歪んだ恋情

中庭から大広間へ。

数十人が一度に介することの出来るテーブルに椅子が並べられる。

そして彼の歩く両側にかしずく使用人たち。


「如月はご存知ですよね。これからもあなたの傍には如月がいますので」


彼の声に如月は、


「よろしくお願いいたします」


一段と頭を深く下げてそう言った。


「こちらこそ」


私がそう答えると如月は私の肩からショールとふわりと取り去る。


「そしてこれが女中の小雪。あなたのお世話をするものです」


如月の隣に立っていたのはメイドの格好をした女性。

といっても、私とそれほど歳は変わらないのかもしれない。

黒く長い髪は綺麗に纏め上げ、少し細身の彼女も「お願いいたします」と私に頭を下げた。


「他の使用人はまたいずれ。それでは部屋に案内しましょうか」


彼はそう言うと大広間を出て階段を上がり始めた。

吹き抜けの階段の上には大きなシャンデリアが煌く。

深紅の絨毯を敷き詰めた階段を上がるとそこの窓から中庭が一望できる。

そんな景色など彼は見向きもせずに東へ。


「ここは私の書斎です。家に居るときは大抵ここに居ますから」


その部屋は開けられることなく通り過ぎる。

これは『入るな』という意味かしら?


「あなたの部屋はここになります」


そう言って開けられた部屋は廊下の突き当たり、角部屋にあたる場所だった。
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