重なる身体と歪んだ恋情
驚く私に先生は優しい笑顔を。


「学校でも教えてあげたでしょう?」


そう、だった。

私が通ってた学校は女学校で、男子は居ない。

居るのは年を召された男性教諭くらいで、その中で大野先生は特別だった。

英語のできる教師と言うのが圧倒的に少ないせいもあるんだと思う。

大野先生だけが若くて、それでいて優しくて。

私たち学生の憧れの人。

そんな先生に私たちはかわるがわるダンスを教えてもらった。

他に相手になる男性が居ないから。


「ほら、始まった」


催促するように新しい音楽が流れ始める。

伺うように中を見たけれど奏さんの姿は見えなくて。


「おいで」


先生の声に手を、重ねてしまった。
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