重なる身体と歪んだ恋情
車まで戻ると慌てて如月が車から出てきて、少し不思議そうな表情を見せたあといつものように頭を下げる。
「お帰りなさいませ。もうお帰りですか?」
やっぱり。
予定より早かったんだ。
「挨拶は終わったからね。それに――」
そう言って目を細めて私を少しだけ見て、
「気分が悪い。たまには早く帰って休みたいんだよ、司」
その名前に、思わずハッとしてしまった。
だって奏さんが如月のことを司って……。
それは如月も同じだったようで。
暗闇では分かりにくいけど少しだけ眉をひそめて、
「畏まりました。それでは急いで帰りましょう」
そう言って車のドアを開けてくれた。
帰りの車内でも会話なんて何も無い。
ただ車の濁った音が空間を支配する。
吐き出す煙がこの空間も汚していくように。