重なる身体と歪んだ恋情

「おはよう、ございます……」


噛みそうな舌を何とか動かしてそう答えると奏さんはニコリと笑って席に座るよう促す。

それを合図に如月が椅子を引いて私は座った。


「昨日はお疲れ様でした」

「……いえ」


なんの嫌味なのかしら?

この状況の私って親に怒られるのを恐れてビクビクしている子供のようだわ。


「伝え忘れていましたが今夜はアメリカ領事館の奥様の誕生日パーティがあるのです」

「え?」


てっきり、まだまだ嫌味めいた苦言を呈されるのかと思ったのに全然違う話題で思わず聞き返す私に奏さんはやっぱりニコリと笑顔のまま。


「申し訳ありませんが今夜も付き合っていただけませんか?」


最近、思うことがある。

彼は言葉も丁寧で態度だって紳士で決して声を荒げるようなことは無いのだけど、これは仮面を被っているのではないかしら? って。

勿論そう断言できるほど彼のことを理解してるわけではないのだけど。

そして、


「……はい」


彼がどんな人間だったとしても私にはこの選択肢しかない。

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