重なる身体と歪んだ恋情
「雨、降るかしら?」

「すみません。分からないです」


郁は苦笑いを浮かべてお庭の草木を剪定中。


「どうせなら嵐になればいいのに」

「どうしてですか?」

「……」


行きたく無いから。

なんて子供じみた台詞は言えなくて。


「なんでもないわ」


そう答えて小さく息を吐いた。

分厚い雲は太陽の光を遮っているのに嵐どころか雨の降る気配すらない。

梅雨って毎年いつくらいからだったかしら?

そんなくだらないことを考えながら、


「どうぞ。今日はミルクティにしてみました」


如月の出してくれるお茶を口に運んだ。

働くわけでもない、家事をするわけでもない。

ただ毎日こうして生きているだけ。

つまらない。


「千紗様」

「なに?」

「英語の勉強、お付き合いしましょうか?」

「えっ?」


顔を上げると如月は笑うでもなく私を見つめて。


「How are you?」


奏さんにも負けないくらいの流暢な英語を話し始めた。
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