重なる身体と歪んだ恋情

「千紗さん」

「あ」


先を歩く奏さんに声をかけられて小走りに彼の所へ。

少し浮かせた腕を出されるから自分の手を絡めると前に進み始める。

彼の反対の手には薔薇がふんだんに入れられた花束。

素敵な誕生日プレゼント。

考えてみれば私は奏さんの誕生日すら知らないことに今更ながら気がついた。

気がついたとことで私から彼にあげられるものなんて無いと思うけど。

お城のような建物に近づくと底にいるのはやはり外国の方で。


「You'er welcame.」


かけられる言葉だって英語。


「Thank you.」


自然にそう答える奏さんに続いて私も「サ、サンキュウ」となんとか口にしてみた。

すると奏さんはクスリと笑って、


「頑張ってください」


だなんて。

馬鹿にしてるんだと分ってるのに純粋に嬉しいなんて思ってしまう。

思えば私は彼に対してなんの努力もしてなかった。

ただ自分の置かれた状況を悲観して与えられるものだけ享受して。


「あちらが今日の主人公、ミセス・ラングトンです」


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