重なる身体と歪んだ恋情
奏さんが向かおうとしてる人だかりの中心に一人の女性。

見事なブロンドに緑色の瞳。

まだお若いのかしら? といっても私よりは年上間違いなくてその隣に居る男性は白髪の初老と言ったところ。

彼女に集る誰もが「Happr birthiday! Abbey」と声をかけてる。

そして彼も。


「Oh! Kanade!!」


ニコリと笑う彼にアビーと呼ばれている女性は飛び跳ねて、


「え?」


抱きついてキスしてたり。

勿論唇にではなく頬だけど、奏さんも苦笑しながら彼女の頬にキスを返す。

二人の間で大きな花束が悲鳴を上げてる。

なんなの? この状況。

目を丸くする私に奏さんが振り返って。


「Abbey, She's my wife」


そんな台詞にアビーさんの緑色の視線が私を射抜く。


「あ、あのっ、My name is Tisa Kiryu.」


間違えてない、大丈夫。

ドキドキする私にアビーさんはにこりと素晴らしい笑顔を。


「When did you married?.」

「えっ?」


なんて言ったの? えっと、マリッジ? 結婚? 合ってるの?

困惑する私の前に奏さんの背中が入ってきて、何かを話した。

早くてよく分らないけど、多分『彼女は英語が話せない』みたいなことを言ったのだと思う。

するとアビーさんは、


「Have a fun.」


私を小馬鹿にするように鼻で笑った。


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