重なる身体と歪んだ恋情
どれくらい経ったのだろう。


「千紗さん、こちらにいらしたのですか」


その声に振り返るとニコリと笑う奏さんがいて。


「どこかご気分でも?」

「いえ……」


お酒は飲んでない。

それどころか会場にある料理には何一つ手をつけていない。


「それでしたら、折角ですので一曲いかがですか?」


手を引かれて会場の中へ。

彼の口元からはほのかにアルコールの甘い匂いがする。


「ダンスは得意なんですよね」

「……」


彼は意地悪だ。

もしかしたら前回足踏んでしまったことを根に持っているのかしら?

それ以上に先生とのことを言ってるのかもしれない。

だからフイッと視線を逸らせば音楽が始まって。

体を引き寄せられて私の身体が揺れる。


「これが終わったら帰りましょう。さすがに2日連続は疲れましたから」


耳元でそういわれて少しホッとした。
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