重なる身体と歪んだ恋情
梅雨に入ったのだと思う。

今朝も朝からパラパラと雨が降ってた。


「さつきは終わりましたが次は紫陽花が咲きますよ」


こんなどんよりとしたお天気なのに郁はいつものように笑ってる。

桐生家の庭にはいつもなにかの花が咲いてる。

雨粒に濡れながらも。

お祖母様は元気かしら?

桜井の庭にあった紫陽花もちゃんと花芽をつけたかしら?

この雨でまた膝の痛みがぶり返してなければいいのだけど……。


「千紗様、明日天気がよかったら横浜に行きましょう。雨の日の外出は危険ですから」

「わかったわ」


危険ならずっと家から出なければいいのに。

息苦しい金魚生活もずっと金魚鉢の中に居れば慣れるもので。

金魚鉢の中しか知らない金魚も幸せなんじゃないかと思えてきた。
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