重なる身体と歪んだ恋情
「千紗さん?」
「えっ? あ、何でしょう?」
ハッとする私に彼は呆れるような笑みを。
「ミルクと砂糖は、とお聞きしたのですが」
「あ、お願いします」
そう言うと彼は男にしては華奢な手でスプーンを操りサラサラと砂糖をコーヒーに入れた。
「そのドレス……」
「はい」
何か言いたそうに私を見下ろす彼。けれど、
「いえ、いいです」
彼は少し苦い笑みを浮かべてカップに口をつける。
似合わない、そう訂正したかったのかも。
そう考えるとなんだかイライラしてしまって、私も同じようにコーヒーを口に。
「……っ」
苦い。
これお砂糖入れたの? 尖った液体が喉をすり抜けていく。
「砂糖、足りませんでしたか?」
「……いえ」
元々コーヒーは好きでは無いのだから、砂糖をいくら入れても結果は同じね。
苦いだけではなく、口の中に酸い味まで残る。
これが美味しいだなんて、私には一生理解出来ないかもしれない。
「次からはミルクにしましょうか」
「はい。……えっ?」
隣を見上げれば彼はクスクスと人を小馬鹿にするような笑いを浮かべて。
「失礼。あまりにも可愛らしかったので」
「……」