重なる身体と歪んだ恋情
バタンと閉まるドア。

残されたのは私と如月、それと小雪の三人で。


「……」


今日は結婚式だったのよね?

なのに彼は仕事で夜も先に休みなさいだなんて……。

私はどこまで妻として見て貰えてないのだろう。

これまでの彼の話からして、寝室も別のようできっと私はあの部屋で一人で眠るのだと思う。

別に彼と一緒なんてことを望んでるわけじゃない、けど。


静かな部屋は私を益々惨めにさせる。

もうコーヒーはないし彼も居ないのだから私がここにいる理由もない。

もしかしたら、式を上げてしまった今、私の価値すらもう無くなってしまったのかもしれない。


奇妙な静寂が耳に痛い。


「千紗様」

「……なに?」


カップを見つめるだけの私に耐えかねてなのか、如月が私の名を呼ぶ。


「お体の方、大丈夫でしたらもう少し私からこの家の中をご案内いたしましょうか?」


この家にはまだ案内しないと分からないところがあるらしい。

特に興味は無いけれど、


「そうね。お願いするわ」


何もせずにここに座っているよりは全然いい。

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