重なる身体と歪んだ恋情
あれからお祖母様のペンダントを開けようと試みてみたけれど全く歯が立たず。

鏡台の前で小さくため息を付いた。

この中には何があるのかしら?

お祖父様の写真?

それともお二人の写真かしら?

きっとお祖父様が贈られたのだろう。だから彼女は大切にして。

ならばどうしてもこの中をもう一度見せてあげたい。

そう思うのに、


「――ん!! はぁ」


どんなに頑張っても開くことはなくて。

それを手にしたまま如月が買ってきた洋書を机の上で開いた。

その片隅には辞書とペンダントを置いて。

如月には桜井の家を見に行ってもらった。

どうなっているのか。

誰もいないのなら泥棒が入ったって分らない。

しかも梅雨だから家の換気もしておかないと。

本音を言えば私が自分でやりたいのだけど、私はあの家を出て行った身。その私が実家に帰ると言うのはきっとお祖母様もよい顔をなされないだろうから。

すすけた銀のペンダントが鈍い光を放つ。

私がこれを持っていて幸せに、なんて。


「無理よ……」


今夜も彼は遅いだろう。

また首元に赤い痕をつけて帰るのだろうか?

それとも香水の残り香を纏ってベッドに入るのかもしれない。

そんなことを考えるだけでこのペンダントがひどく可哀想な気がして。

私はペンダントを机の引き出しにそっとしまった。
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