重なる身体と歪んだ恋情
飲み干して息を付いたころには涙も止まって。


「もう寝るわ」

「はい、お休みなさいませ」


如月にカップを渡して階段を上った。

私の部屋の向かいからは何も聞こえない。

きっと、明日の朝も私たちは顔をあわせることは無いと思う。

そんな予想に小さく息を吐いて自分の部屋のドアを開けた。

机に座って引き出しから銀のペンダントを出してみる。

開けようとお心見てみるけれどやはり開かなくて、


「痛っ」


人差し指の爪がかけてしまった。

馬鹿な私。

これが開いたらもしかしたら幸せになれる何かが、なんて。

お祖母様を幸せに出来ても私を幸せになんて出来るはずも無い。

そんな力、このペンダントには無いというのに。


「……馬鹿ね」


小さくそう呟いてまた引き出しの中に。

これはいつかお祖母様に返そう。

それがこのペンダントにとってもいいことのように思えた。
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