重なる身体と歪んだ恋情
次の日の朝、案の定奏さんは朝早くに家をでて私は一人で朝食を。

こんなのはもう慣れっこ。

寧ろ落ち着けていいくらい。

その日は一日静かに過ごして次の日にはお祖母様のお見舞いに。

病院の人の話では私が食べさせないとほとんど食事もしていないらしい。

どこが悪い、と言うわけでもなく先生がおっしゃるには「歳のせい、でしょうか?」と曖昧な回答。

本当に心配で出来れば毎日だって来たい位なのに、


「こんなに来てはいけないわ。貴方は桐生家の人間なのだから」


そう言ってお祖母様は私が頻繁に来ることにいい顔をしてくださらない。


「でもお食べにならないと心配で」

「大丈夫、最近スズが来てくれてるの」

「スズが?」


その名前を口にして如月を見れば軽く会釈して返す。

あぁ、そう言うことなのね。

それでも心配だから隔日で通っているけれど、お祖母様は日に日にやつれていくように見えた。

桜井の家は、


「特に変わりはありません。そしてお兄様もお帰りにはなっていないようで……。庭のほうは手入れされていました。以前の使用人が時折様子を見にきているようで、スズと申しておりました」

「そう……、よかったわ」


桜井に一番長くいてくれたスズ。彼女がたまにでも見に行ってくれてるなら心配ないわ。

そして病院にも通ってくれてる。


「ねぇ、如月。もしかしてスズに――」

「千紗様がご心配するようなことではありません」

「……そう」


きっとお給金を支払っているんだろうと思った。

だから、


「ありがとう」


小さくそういえば、


「奏様におっしゃってください」


と。

確かにそうなのかもしれないけれどその如月の声は聞こえないフリをした。


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