重なる身体と歪んだ恋情
雨が降りしきる。時折雷の音も聞こえる。


「そろそろ梅雨明けかもしれませんね」


そんな如月の台詞が印象的だった夜、私はまた晩餐会へ。

こんな日くらい行かなくても、と思ってしまうくらいの雨。だけど、


「この雨で招待客が少なくては可哀想でしょう? 幸い場所も近いですから」


奏さんはとても優しい台詞を口にした。


土砂降りの雨の中、車は大きな建物の前で止められる。

どんなに気をつけても雨には濡れてしまって。


「大丈夫ですか?」


そんな彼の声には「はい」と答えておいた。

ドレスの裾は濡れていたけれど彼にとっては問題ないだろうから。

会場に入ると彼の言うとおり招待客はまばらで。


「まぁ、この雨の中いらしてくれて嬉しいわ!」


30代半ばだろうか。

確か伯爵夫人だったと思う。

名前は、覚えていない。
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