重なる身体と歪んだ恋情

「夫に従順で他の男に色目など使わない人のことを言うのですよ」

「なっ、色目なんて!」

「なら彼の方から貴女を誘ったと?」

「先生はそんな人ではありませんっ」

「人目を避けて人の妻と抱き合ってるような人物、信用できませんね」

「それを言うならあなただって同じだわ!!」


叫んだりしたのは、初めてだと思う。


「私が気付いていないと思ってらっしゃるの? 毎晩、他の女性の香りを纏って、シャツには紅をつけて帰るあなたに! 舞踏会に行けばいつしか会場からいなくなるあなたに!!」


この感情はなんなのかしら?

すごくイラついて、憤りを感じて、

とても哀しい。


「ものさえ与えれば私が満足すると思ってるの?」


愛玩動物なら餌さえもらえれば満足するかもしれない。


「表面だけの優しさで繕えると思ってらっしゃるの?」


ううん、動物ですら飼い主の愛情が欲しくて縋ると言うのに。


「私を妻だと言うなら、ちゃんと――」


私は彼に、


愛されていない。
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