重なる身体と歪んだ恋情

「……言いたい放題ですね」


俯く私に彼の靴先が見えた。


「貴女の方こそなにも分かっていないくせに」

「え?」


顔を上げると彼の顔はすぐそこにあって。


「なるほど、貴女の言う妻と言うのは他の女と同列に扱えと?」

「ちっ、違っ」


ギリッと腕を掴まれて声が出ない。


「あぁ、それ以上にと言うことですね」

「痛っ」


彼の爪が腕に食い込む。


「そうですね、このままでは他の男に先を取られかねない。それなら――」

「何を言って」

「私が『女』にして差し上げますよ」

「やっ」


強く腕を引かれてその痛みに逃げることも出来ない。

引かれるまま階段を上がって、


「奏様っ! 一体何を!?」

「……きさら」


車を置いて戻ってきたのだろう。

髪も服も濡らしてる如月の姿に手を伸ばした。

彼なら、助けてくれるはずだから。なのに、


「夫婦間のことに口出しは無用ですよ、司」


その台詞に、如月は足を止めてしまった。

伸ばした私の手にはなにもつかめない。

引きずられるように2階に上がって、


「どうぞ、お入りください」


初めて彼の部屋に足を踏み入れた。


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