重なる身体と歪んだ恋情
「それでは部屋までお送りします」
立ち上がる司に、「もう帰って構わないよ」と言ったのだが、
「その足」
「?」
「一人で階段を上れるとお思いですか?」
そういわれて自分の足を見下ろした。包帯で巻かれた足は靴も入らない。
だから片足はスリッパ。
だからといって、
「歩けないわけじゃないぞ?」
「お部屋は3階です。本来なら最上階を取りたかったのですがその足を考慮して低い階に。それでもその足では難しいかと。どうぞ」
私に差し出される司の手。
「……出来れば女性に介助してもらいたいな」
「そう言ったお言葉は千紗様の前ではなさいませんように」
司はいつどんな時でも正しくて、私は一生敵いそうにない。
だからこそ、千紗も――。
いや、千紗が司に引かれる気持ちがよく分かる、と言ったところか。
私にしたって司を突き放すことが出来ず、その手を取るのだから。