重なる身体と歪んだ恋情
部屋の中はカーテンの隙間から月明かりが漏れる程度。

だから照明を付けようとすると、


「――あ、あのっ、明かりはこのままで……」


少し、焦るような千紗の声が私の手を止めた。

微かに震える千紗の手。


「……いいですよ。それをあなたが望まれるのならば」


そう答えると彼女の吐く息の音が聞こえた。

それからベッド向かって歩き、私はその上にドサッと座り俯く彼女を見上げる。



「千紗さん」


呼ぶ声にビクッと肩を震わせて、ゆっくりと私に視線を合わせる。

彼女の顔には怯えた表情ぎ張り付いている。


「私はこの通り怪我をしています。だから――」


嫌なら嫌だと、逃げたいなら逃げればいい。

そう思うのに、


「……分かっています」


彼女は小さくそうの答えると、ゆっくりと服のボタンを外し始めた。

震える手でブラウスのボタンを外し、スカートを床に落として、彼女の手が行き場を無くす。

薄い下着から彼女の身体の線が浮き上がる。

綺麗だと、思った。

暗がりの中、青白い月明かりに浮かぶ彼女の身体。

触れたら、壊れるかもしない。

一度壊しておきながらそんなことを考える。

それでも、


「こちらへ」


触れたくて、堪らない――。


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