重なる身体と歪んだ恋情
私が差し出した手に千紗の身体が震えた。

そこまで怯えなくても……。

そう思いながら自分の手を目を落とせば真っ白な包帯。

あぁ、そうか。

だからその手を下ろそうとしたら、


「ごめん、なさい」


千紗の白い手が私の手を捕らえた。


「本当に、ごめんなさい――」

「……貴方が謝る必要などないですよ」


卑怯なのは私の方なのに、彼女はもう一度「ごめんなさい」と言うと包帯の巻かれた私の手を自分の頬に当てた。

ジワリと、やけどをした冷たい手に彼女のぬくもりが伝わる。

もっと、触れたい。

彼女の罪悪感に付けこんで私の本能が頭をもたげる。

頬に置かれ手をそのまま彼女の後頭部に滑らせて引き寄せる。

彼女は私の力に逆らうことなく、その身を私の隣に置いた。

ギシリと鳴るベッドの音が私の何かを壊していく。

そのまま彼女を抱き寄せて、唇を重ねる。

触れるだけの軽いキス。

すぐに離して彼女を見ると、彼女の表情は嫌悪と恐怖で引き攣っているように思えた。

それでも、もう一度キスをする。

今度は長く押し付けるようなものを。


「……ん、ぁ……ふっ」


息の仕方が分からないのか、時折漏れる小さな声が私の耳をくすぐった。

そして、胸のふくらみにそっと触れる。

ビクリと震えながらも逃げない彼女。

まだ少女のままの胸は私の手ですっぽりと覆うことが出来る。

それでもその先端はツンと硬く女であることを主張するから、指先で転がすと、


「――あっ!」


甲高い、甘い声が部屋に響いた。
< 354 / 396 >

この作品をシェア

pagetop