重なる身体と歪んだ恋情
車に乗ることが増えて、体力が落ちたのかしら。

病院に着くとひどく体のだるさを感じた。

入るといつもなら気にならない消毒のにおいも鼻につく。

そして、お祖母様の部屋に入ると大きな花束が届いていた。


「お祖母様、これは?」

「あら、千紗さん。倉沢さんが私の入院を聞いて昨日の夕方に来てくださったの。綺麗な花でしょう?」


その声に「えぇ」と答えて花の前に立った。

大きな薔薇の花。

毒々しい深紅ではなく、淡く澄んだ赤。

それはとても綺麗で可愛らしいのに――。


「……んっ」


香りがきつくて、思わず咽てしまった。


「家の方は落ち着いたかしら?」

「帰ったら驚くかも。でも、お祖母様も気にいってくださると思うわ」

「それは楽しみね」


他愛のない話をしていても、一度気になるとどうしても気になってしまう。


「あの、お祖母様、窓を開けてもいいかしら?」

「あら、暑い?」


その声に首を振って、飾られた花を見た。


「少し香りがきつくて」


そう言って、私はほんの少しだけ窓を開け空気を入れ替えた。

「そうかしら?」と首を傾げるお祖母様に「ごめんなさい」と言って、私は大きく深呼吸した。
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