重なる身体と歪んだ恋情
朝、目が覚めてる戸隣に彼の姿はなかった。

着替えて居間に行ったけれど、やはり彼はもうこの家にはおらず朝食は私一人分だけが用意されていた。


「病院はどうされますか?」


紅茶を入れながら如月が聞いてくる。

あんなに寝込んでたら重病人だと思われても仕方ないわ。


「もう平気よ。病院なんて行かなくても問題ないわ」

「そのようですね。スコーンも3つお召し上がりになりましたし。私が聞いたのはお祖母様のお見舞いのことだったのですが?」


そう言われて、ニコリと笑う如月に私もつられて笑ってしまった。

そうだわ。

私にはお祖母様がいる。


「千紗様、このお庭にハーブを植えてもいですか? 桐生家にもあるけどちょっと取りに行くとなると遠いし」

「郁、千紗様はまだお食事中だ。それにそんな理由でこの日本庭園を荒らすな」

「荒らさないって。ただ空いてるところが多いから有効にと思っただけで」

「その空間が日本庭園だ。そこにハーブを植えるなどと……。申し訳ありません、千紗様。郁にはワビサビが理解出来ないようでして」

「わさびは知ってるけど、アレって水の綺麗な小川でしか取れないって」

「ワビサビ、だ」

「如月様、お庭を掃いてもよろしいですか? でも石が邪魔で……。だから誰かに動かしていただきたいのですが」

「小雪……」


そして頭を抱える如月に郁、小雪も。

こんな光景に私は笑いながら紅茶を口に運んだ。
< 385 / 396 >

この作品をシェア

pagetop