重なる身体と歪んだ恋情


「如月、お祖母様のお見舞いに何かおいしいものが欲しいの」


次の日の朝、そう言うと如月は難しい顔をした。


「お見舞いどころではないでしょう? あなた自身が病院へ行かないと」

「だから、そのついでにお見舞いするから何か買ってきて? うんとおいしいものがいいわ。きっと私もお薬を頂いて食欲が戻ってくると思うから」


そう言うと如月は呆れるように溜め息をついて、


「分かりました。お祖母様のお口にあう何かを探してまいります」


屋敷を出て行った。

ごめんなさい、如月。

貴方がいると隠してしまいそうだから。

私は、すべてを知りたいの。

その上で、決めようと思うの。

だから、ごめんなさい。


心の中で何度も如月に謝って、私は家を出る支度をした。

服は、着物にした。

桜井の家に置きっぱなしの着物を身にまとう。

そして誰もいないことを確かめて、家を出た。

心配しないように手紙をおいて。
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