魔法都市
『異能者って…』
『より強いチカラの持ち主を作るには犠牲も必要なのよ?』
『だからって…こんな小さな命なんとも思わないわけ!?』
その問いに百合華はスっと夕紀を見る
その表情は学生時代とも娘の朱理が生まれ可愛がっていた母親の表情とも違う
人の命なんてなんとも思わず今までしたことすら平然とした顔をしていた
"研究者"としての顔ですらないようにクスッと笑う
『最強の魔法使いと言われた夕紀(あなた)なら自分のチカラがどれだけか分かるでしょ?』
『そんなの関係ないわ。その子を返して!』
『そんなにこの子が大事?ただ孤児院で育ってきただけの子』
『大事よ』
奏が、かつての友人であった瑠奈と和眞の子供だと知られたくなったのは百合華が実験に巻き込むことを恐れていたからだ
だが今も百合華は目の前にいる奏が二人の娘だとは知らない
知らないのにこんな形で巻き込まれるとは夕紀も弥生も思っていなかったのだ
『……へぇ。じゃあその大事なこの子がいまここでこの石を埋め込まれたらどうなるかしらね?』
『……っ!やめっ…』
百合華は手に持ってる石を奏に近付ける
それを止めに入る夕紀
すると思いもよらないことが起こったのだ