隣の彼の恋愛事情
―――ウーウー

スマホは震えて着信を知らせた。ディスプレイにはチィ兄の名前。

T’sにいることを伝えると、程なくしてチィ兄が現れた。

「早かったねー!」

実家に戻ってからチィ兄とはちょくちょく会っていた。

今日も雑誌の連載の打ち合わせの帰りらしく、カジュアルダウンしたスタイルは遠目にみてもやっぱりかっこよかった。

私のとなりに座ると、ビールを注文して私の前にあったパエリアを自分のほうによせて、直ぐにほおばった。

「そんなにお腹すいてたの?」

チィ兄の勢いがすごくて、笑えた。

「今日昼飯食べる時間もなくて、打ち合わせでコーヒー飲んだきりでさ。」
思い切りがっつく、チィ兄はビールもグビグビのんで、おかわりをオーダーしていた。

よく見ると頬にご飯粒がついていて、

「イケメンなのに台無し」

そう言いながらご飯粒をとってあげていると、後ろから低い声で
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