隣の彼の恋愛事情
研修が終わって出社した月曜。

いつもと変わらないはずのオフィスが俺にとって痛い変化していた。

(神崎の机いやに綺麗じゃないか?)

普段から整頓されているとはいえ、物があまりにもなさすぎる。

不審になって、机を開けてみると中はほとんど何も入ってなかった。


「課長、神崎の机空っぽですけど、どうなってるんですか」

そんなこと聞けば、不審がられるかもしれないが、そんなことは今言ってられない。

「あ~そっか、お前一週間研修だったもんな。神崎、異動になったんだよ。」

「異動?ずいぶん急じゃないですか。先週は何も言ってなかったのに」

「そうなんだよ。A支店で急遽産休要員が必要になってな―――」

課長が色々話ししているが、まったく耳に入ってこない。

(俺に一言も言わずに行くなんて、そこまで嫌われたか)

単純にショックだった。

研修の間も時間をみつけて、連絡をしたが返信はおろか異動の話さえもされずに、逃げるように消えた。

(ひとつ転ぶと何もかもうまくいかねーな)

自分で自分が情けなくなり、頭を抱える。

ここが職場でよかった。そうでなければ、ところ構わず当たり散らしてしまいそうだ。

(俺の恋愛は、運さえも見放したのか)

どう考えても八方塞りのこの状況で、浮かんできたのは神崎の笑顔だった。

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