隣の彼の恋愛事情
「確かに私は何の後ろ盾もありません。これから斗馬さんが飛び込む世界がどんなものなのか想像も追いついてないと思います。―――でも、それでも綺麗事ばかりでない世界だからこそ、私は彼のそばにいようと思います」

「それはどういうこと?」

「私、彼が誰にも見せない素顔を私に見せてくれるのが好きなんです。外でどんな彼を演じなければいけない状況になるかその時になってみないと分かりませんが、せめて私のそばにいるときだけでも、素顔の彼でいてほしい。いつまでも自分を見失わないでいてほしい、その手伝いをしたいと思っています」

自分の考えを一つ一つ心をこめて伝えた。

幼い考え方かも知れない。でもここで嘘も見栄も通用しない。ならば自分の考えを相手に分かってもらえるように、誠心誠意、話するしかない。

話終わった私を、じっと見つめてくるお父様。

(どう思ったかな?やっぱり反対されるかな?)

そう思い、膝に置いていた手をギュッと握りしめる。
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