魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
「おいこのエロドラゴン。ちょっとクリスタルパレスまで飛べよ」
『お前にエロ呼ばわれる筋合いはない。ベイビィちゃん、俺の角を撫でてくれ』
「うん、わかった。よしよし」
グラースとの間に子供をもうけてもラスに構ってもらいたがるドラちゃんの態度に激怒したコハクは、ラスを押しのけて親指を折り曲げて手刀の形にすると、ドラちゃんの角を掴んで凄んだ。
「お前のその立派な角へし折ってやるぞ。チビは俺のなんだからお前はグラースといちゃいちゃしてろ!」
『俺の本命はベイビィちゃんだ。それに今回がはじめての子じゃない。雄の竜は子育てなどしない』
「はあ!?今本命って言ったか?あー残念無念!俺とチビはラブラブだからお前の付け入る余地なんか…」
「コー、早く行こ。グラース大丈夫?」
自分よりも早く妊娠したグラースを気遣うラス…いや、グラースにもめらっとしたやきもち魔王は、飛行中のドラちゃんが揺れないように魔法をかけると、ラスを前に乗せて後ろから腰を抱いて支えた。
「なんで馬車じゃ駄目なんだよ。旅は馬車推奨だからな」
「グラースがドラちゃんに乗りたいって言うから。それにリロイに早くお許しを貰わないと旅に出れないでしょ?」
「ま、そうだけど。じゃあ行くかー」
出奔してから誰かに庇われたり守られたりされたことがなく、またされようとも思っていないグラースは、内心こうやって仲間ができたことを本当に嬉しく思っていた。
腹の中の父親であるドラちゃんは子育てには協力しないと言っているが、屋上に会いに行くといつもドラゴンの姿から人の姿になって傍に居てくれようとしている節がある。
「こいつはクーデレなんだな。ああそうなると…魔王もクーデレか」
「んあ?今なんか言ったか?」
風に声を攫われてグラースの呟きが聞き取れなかったコハクが振り返ると、グラースはティアラとしっかり身体を密着させて落ちないようにしながらふっと笑った。
「なんでもない。旅か…旅に出るのは久し振りだ」
「ブルーストーン王国の父君たちに妊娠のこと言わなくていいのかしら?」
「必要ない。私はもうあの国の王女じゃないからな」
話しているうちにすぐ水晶の森の女王に守護された王国が見えてきた。
イエローストーン王国改めクリスタルパレスとして見事に復興した国の王は、その時未だに座り慣れない玉座で大勢の人々に囲まれててんてこまいになっていた。
『お前にエロ呼ばわれる筋合いはない。ベイビィちゃん、俺の角を撫でてくれ』
「うん、わかった。よしよし」
グラースとの間に子供をもうけてもラスに構ってもらいたがるドラちゃんの態度に激怒したコハクは、ラスを押しのけて親指を折り曲げて手刀の形にすると、ドラちゃんの角を掴んで凄んだ。
「お前のその立派な角へし折ってやるぞ。チビは俺のなんだからお前はグラースといちゃいちゃしてろ!」
『俺の本命はベイビィちゃんだ。それに今回がはじめての子じゃない。雄の竜は子育てなどしない』
「はあ!?今本命って言ったか?あー残念無念!俺とチビはラブラブだからお前の付け入る余地なんか…」
「コー、早く行こ。グラース大丈夫?」
自分よりも早く妊娠したグラースを気遣うラス…いや、グラースにもめらっとしたやきもち魔王は、飛行中のドラちゃんが揺れないように魔法をかけると、ラスを前に乗せて後ろから腰を抱いて支えた。
「なんで馬車じゃ駄目なんだよ。旅は馬車推奨だからな」
「グラースがドラちゃんに乗りたいって言うから。それにリロイに早くお許しを貰わないと旅に出れないでしょ?」
「ま、そうだけど。じゃあ行くかー」
出奔してから誰かに庇われたり守られたりされたことがなく、またされようとも思っていないグラースは、内心こうやって仲間ができたことを本当に嬉しく思っていた。
腹の中の父親であるドラちゃんは子育てには協力しないと言っているが、屋上に会いに行くといつもドラゴンの姿から人の姿になって傍に居てくれようとしている節がある。
「こいつはクーデレなんだな。ああそうなると…魔王もクーデレか」
「んあ?今なんか言ったか?」
風に声を攫われてグラースの呟きが聞き取れなかったコハクが振り返ると、グラースはティアラとしっかり身体を密着させて落ちないようにしながらふっと笑った。
「なんでもない。旅か…旅に出るのは久し振りだ」
「ブルーストーン王国の父君たちに妊娠のこと言わなくていいのかしら?」
「必要ない。私はもうあの国の王女じゃないからな」
話しているうちにすぐ水晶の森の女王に守護された王国が見えてきた。
イエローストーン王国改めクリスタルパレスとして見事に復興した国の王は、その時未だに座り慣れない玉座で大勢の人々に囲まれててんてこまいになっていた。