魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
「本当にこの人形に僕の代わりができるのか?」
どうしても疑ってしまうリロイが礼装をやめて衝立の向こうで服を抜きながら言うと、コハクは脚に掴まり立ちしているルゥを抱っこして鼻を鳴らした。
「てめえ俺の魔法を信じねえのかよ」
「信じてないわけじゃないけど…もしばれたら僕は王としての信頼を失ってしまう。まだまだこの国は赤ん坊なんだ」
「だーいじょうぶだって。お前にそくりの考え方、外見…お前の髪の毛使って作ったんだから似ねえわけねえだろ」
「コー、すごいねえ。じゃあ私の髪の毛使って私そっくりのお人形さんを作ることもできるの?」
「ん?」
その考えに行きつかなかったコハクは、ラスの髪の毛を使ってもう1人のラスを作った想像をしてみた。
あっという間に頭の中はピンク色のお花畑になり、鼻の下を伸ばしてにやにやしているとティアラから隣に座っていたラスを強奪されて引き離された。
「駄目よラス。そんなこと聞いたら魔王が本当にしかねないわ」
「…イイ!すごく良かった!でもチビはひとりでいいや。いっぱいいたら有難みがねえからさ」
リロイはそんなふざけた会話を聞きつつ、ずっとずっと捨てられなかったものの前に立っていた。
王になるまでの自分を作っていたもの…誇りに思っていたもの…全てが詰まっているものの前に。
それに手をかけて着ると、身が引き締まった思いになって気が張りつめる。
それはとても心地よい緊張感で、1度大きく深呼吸をしたリロイは皆の前に出て、全員の注目を浴びた。
「あ、リロイ!それって白騎士の鎧だ!わあ、やっぱりよく似合うね」
「これを着るのがずっと夢だったし誇りだったんだ。国の皆とティアラには申し訳ないけど…これを着て行きたい」
「申し訳ないことなんてないわ。あなたはやっぱりその鎧がとてもよく似合ってる。…素敵よ」
頬を赤らめて俯いたティアラの手を取って先程人形がしたように手の甲に口づけをすると、ラスから大きな歓声が。
そして瞳を尖らせているコハクが猛抗議してくるのが目に見えたので、リロイは慌ててコハクから距離を取ると外を指した。
「ドラゴンで行くのか?」
「お前がその姿で城内うろつくわけにはいかねえだろ。バルコニーにドラを呼ぶから、そこから外に止めてある馬車まで行く。チビ、楽しみだな」
「うん!」
妖精の森へと、いざ出発。
どうしても疑ってしまうリロイが礼装をやめて衝立の向こうで服を抜きながら言うと、コハクは脚に掴まり立ちしているルゥを抱っこして鼻を鳴らした。
「てめえ俺の魔法を信じねえのかよ」
「信じてないわけじゃないけど…もしばれたら僕は王としての信頼を失ってしまう。まだまだこの国は赤ん坊なんだ」
「だーいじょうぶだって。お前にそくりの考え方、外見…お前の髪の毛使って作ったんだから似ねえわけねえだろ」
「コー、すごいねえ。じゃあ私の髪の毛使って私そっくりのお人形さんを作ることもできるの?」
「ん?」
その考えに行きつかなかったコハクは、ラスの髪の毛を使ってもう1人のラスを作った想像をしてみた。
あっという間に頭の中はピンク色のお花畑になり、鼻の下を伸ばしてにやにやしているとティアラから隣に座っていたラスを強奪されて引き離された。
「駄目よラス。そんなこと聞いたら魔王が本当にしかねないわ」
「…イイ!すごく良かった!でもチビはひとりでいいや。いっぱいいたら有難みがねえからさ」
リロイはそんなふざけた会話を聞きつつ、ずっとずっと捨てられなかったものの前に立っていた。
王になるまでの自分を作っていたもの…誇りに思っていたもの…全てが詰まっているものの前に。
それに手をかけて着ると、身が引き締まった思いになって気が張りつめる。
それはとても心地よい緊張感で、1度大きく深呼吸をしたリロイは皆の前に出て、全員の注目を浴びた。
「あ、リロイ!それって白騎士の鎧だ!わあ、やっぱりよく似合うね」
「これを着るのがずっと夢だったし誇りだったんだ。国の皆とティアラには申し訳ないけど…これを着て行きたい」
「申し訳ないことなんてないわ。あなたはやっぱりその鎧がとてもよく似合ってる。…素敵よ」
頬を赤らめて俯いたティアラの手を取って先程人形がしたように手の甲に口づけをすると、ラスから大きな歓声が。
そして瞳を尖らせているコハクが猛抗議してくるのが目に見えたので、リロイは慌ててコハクから距離を取ると外を指した。
「ドラゴンで行くのか?」
「お前がその姿で城内うろつくわけにはいかねえだろ。バルコニーにドラを呼ぶから、そこから外に止めてある馬車まで行く。チビ、楽しみだな」
「うん!」
妖精の森へと、いざ出発。