魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
宿屋のオーナーが腕を奮って作ってくれた豪華な朝食を頂くと、ラスは見送ってくれた人々に手を振って馬車に乗り込んだ。


次はいよいよ妖精の森なのだが…

あそこには、怖くて美しい妖精の女王が居る。


以前訪れた時は感情を奪われて散々な目に遭ったのだが、ラスは全くめげていなかった。


「女王様は元気かなあ?」


「俺たちはベルルに会いに行くのであって女王に会うんじゃねえんだぞ。女王に何されたか忘れたのか?」


「忘れてないよ、でも元に戻ったでしょ?勇者様が助けてくれたから」


要所要所でコハクをよいしょすることを学んだラスが誉めちぎると、案の定でれっとなったコハクは何気なくルゥの額をつんと突いた。


恐らく女王はルゥの存在を許さないだろう。

ラスにもひどいことをして、さらに子供まで居ると知られればルゥも狙われる可能性がある。


デスは一瞬コハクの指先が光ったのを見ていたが、いつものように無言で窓の外を見ていた。


「……力…感じる……」


「前回妖精の森に行った時は盗賊たちが居たけど、今回はどうかなあ」


「懐かしいね!リロイとコーが盗賊さんたちを捕まえてくれたんだよね」


「へっへーん、あんなの楽勝だっつーの。よし、一旦休憩を取って夜までに着くぞー」


「うん、わかった!じゃあ私また沢山キノコを採ってくるね!」


…ラスが採ってくるキノコは悉くカラフルでもちろん毒キノコなのだが、本人はそれを知らない。

もちろんそんな突っ込みを入れずにラスの頭を撫でてよろしくなと言ったコハクは密かにリロイにちゃんと食べれるものを採ってこいと目配せをした。


「グラース、お腹は大丈夫?」


「ああ大丈夫だ。魔王の魔法のおかげで馬車が揺れないからな」


「コーはほんとに優しいんだから」


「えっへん!」


鼻高々。

魔王は見事に操縦されていた。
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