魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
『黒いのー。どこに居るの?』
ーー遠くから聞き慣れた可愛らしい声が聴こえた。
膝を抱えて木の幹にもたれかかっていたデスは、声が近づいてくるのを待った。
まだ幼くあどけない少女…のはずだったが…
木々をかき分けて現れたのは、ラスだった。
ーーいや、ラスより背は高いし、ラスよりはつらつとしているような…
「ラス…?」
『黒いのー、私の大切な人を紹介したいの。私、この人と結婚するの。祝福してね』
「え…」
ラス…ではない。
だとすれば、今目の前に居るのは…
『エンジェル…?』
「パーパみたいに強くてかっこいいの。こんな素敵な人が居たなんて!私って幸せ者でしょ?』
エンジェルが手招きして呼び寄せた男は、背が高くてすらりとしているが…顔はよく見えない。
だがエンジェルが嬉しそうにして男の腕に絡みついている姿は、デスを無性に腹立たせた。
エンジェルが結婚ーー
今まで想像すらしたことがない。
そして目の前のエンジェルは…
デスの冷たく凍っているかのような心臓をどくんとざわめかせた。
「エンジェル…結婚なんて…魔王が許さない…」
「パーパは許してくれたの。もちろんマーマもお兄ちゃんたちも。後はデスだけだよ。ねえ、私たち、結婚していいよね?」
あまりにも突然の出来事で、言葉が出てこない。
大きな瞳をさらに見開いて待っているエンジェルは、徐々に表情を曇らせて、俯いた。
「黒いのにも…祝福してほしいのに…」
「…エンジェル…俺は…」
ふらりと脚が動いてエンジェルの前に立った。
先程の男は気を利かせたのかその場から去り、デスはエンジェルの両肩を抱いて顔を上げさせると、口角を僅かに上げて微笑んだ。
「…エンジェル…俺は…君が必要だ」
『え…?どうゆう意味…?』
「誰にもエンジェルはやらない…」
ーー訳がわからずぽかんとしているエンジェルのぷるぷるでふっくらした唇にーーデスの唇が重なる。
重なったと思った瞬間、腕の中で何かがもぞりと動いた。
暗闇の中、ぼんやりしながら腕の中のものを見ると、小さなエンジェルがすうすうと寝息を立てて眠っていた。
「…夢……?」
急になんだかほっとしたデスは、エンジェルを優しく包み込むと、夢の続きを願いながら瞳を閉じた。
ーー遠くから聞き慣れた可愛らしい声が聴こえた。
膝を抱えて木の幹にもたれかかっていたデスは、声が近づいてくるのを待った。
まだ幼くあどけない少女…のはずだったが…
木々をかき分けて現れたのは、ラスだった。
ーーいや、ラスより背は高いし、ラスよりはつらつとしているような…
「ラス…?」
『黒いのー、私の大切な人を紹介したいの。私、この人と結婚するの。祝福してね』
「え…」
ラス…ではない。
だとすれば、今目の前に居るのは…
『エンジェル…?』
「パーパみたいに強くてかっこいいの。こんな素敵な人が居たなんて!私って幸せ者でしょ?』
エンジェルが手招きして呼び寄せた男は、背が高くてすらりとしているが…顔はよく見えない。
だがエンジェルが嬉しそうにして男の腕に絡みついている姿は、デスを無性に腹立たせた。
エンジェルが結婚ーー
今まで想像すらしたことがない。
そして目の前のエンジェルは…
デスの冷たく凍っているかのような心臓をどくんとざわめかせた。
「エンジェル…結婚なんて…魔王が許さない…」
「パーパは許してくれたの。もちろんマーマもお兄ちゃんたちも。後はデスだけだよ。ねえ、私たち、結婚していいよね?」
あまりにも突然の出来事で、言葉が出てこない。
大きな瞳をさらに見開いて待っているエンジェルは、徐々に表情を曇らせて、俯いた。
「黒いのにも…祝福してほしいのに…」
「…エンジェル…俺は…」
ふらりと脚が動いてエンジェルの前に立った。
先程の男は気を利かせたのかその場から去り、デスはエンジェルの両肩を抱いて顔を上げさせると、口角を僅かに上げて微笑んだ。
「…エンジェル…俺は…君が必要だ」
『え…?どうゆう意味…?』
「誰にもエンジェルはやらない…」
ーー訳がわからずぽかんとしているエンジェルのぷるぷるでふっくらした唇にーーデスの唇が重なる。
重なったと思った瞬間、腕の中で何かがもぞりと動いた。
暗闇の中、ぼんやりしながら腕の中のものを見ると、小さなエンジェルがすうすうと寝息を立てて眠っていた。
「…夢……?」
急になんだかほっとしたデスは、エンジェルを優しく包み込むと、夢の続きを願いながら瞳を閉じた。