魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
早業のようにラスの服を脱がせて自らも脱ぐと、軽くお湯を被ってバスタブに入った。

少し熱めのお湯が心地よくて、天窓から降り注ぐ粉雪が幻想的な世界を醸し出して、ラスがうっとりしながら後ろ抱っこしているコハクに身体を預けた。


「あの…すみません、俺爆発寸善なんだけど」


「どうして?ねえコー、村の人たちはやっぱりコーを知ってる感じだよね。瞳の色を変えてもやっぱりびっくりしてるし。それともコーがかっこいいからみんな見てるのかなあ」


「まあ俺がかっこいいのは当然として、チビもかなり見られてたぜ。ま、俺が牽制して近付かねえようにしてたけど。チビはさあ、実は今や世界一の美女って言われてるんだぜ。知らなかったろ?」


驚いて肩越しに振り返ったラスの唇にちゅっとキスをしたコハクは、ラスの細い腰に腕を回してやわらかな感触を楽しみながら肩にお湯をかけてやる。


「そんなこと言われてたの?知らなかった」


「チビは不死になったわけだから、そうなると永遠に世界一の美女ってわけ。あ、待て待て!女の子が生まれたらチビと張り合うほどの美女になるはずだ!むふふふふ」


「コー、気持ち悪い顔してる。ねえお腹空かない?どこか食べに行く?」


ラスが上せそうになっていたので、抱っこしてバスタブから出ると、バスタオルで身体を拭き合った後湯冷めしないように沢山服を着せて部屋に戻った。


「部屋食みたいだぜ。この辺りで採れる山菜とか使った料理が出るぽいけど、口に合わなかったら俺が作ってやっから」


「うん、わかった。ルゥちゃんよく寝てる。ルゥちゃーん、後でお風呂に入れてあげるからね」


――穏やかな時間だ。

まだ謎は解明されていないが、ルゥのぷくぷくの頬を指で突いているラスの金色の髪をバスタオルで拭いてやっているとドアがノックされてオーナーを先頭に数人が料理の盛られた皿を手に入ってきた。


…コハクとは目を合わさずに。


「お待たせいたしました。この辺りで有名なキノコを使った料理になります。どうぞご賞味を」


「ああ。チビ、ちょっと待てよ、俺が最初食うから」


上目遣いでちらちら見てくるオーナーたちの前で一皿ずつ少量を口にしたコハクは、妙なものを盛られていないか毒味をして肩を竦めた。

何も盛られてはいないようだったので、ラスを呼び寄せてテーブルにつくと、ラスがオーナーたちに笑顔で声をかけた。


「ありがとう、美味しく頂くね」


オーナーたちの表情が一気に緩み、コハクが面白くなさそうに鼻を鳴らした。
< 61 / 286 >

この作品をシェア

pagetop