魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
コハクに見える。
だが…何かが違うような気がする。
ラスがじっと見上げていると、コハクと思しき男は一瞬ラスに見惚れてはっとなると、慌ててさらに深くフードを被った。
「コー……じゃないよね?でも待って、すごくそっくり。でも瞳の色も同じだし…よく顔を見せて」
「!さ、触るな!」
ラスが伸ばした手を男がばしっと振り払うと、その拍子で足元が滑って転んだ。
したたかに膝を打ってしまって出血したのと痛みでラスが顔をしかめると、周囲の冷たい視線もあってか、男は仕方なくラスを姫抱っこして村の奥の方へと歩き出す。
「コーじゃなかったら誰なの?名前を教えて。…いた…っ」
「…俺の名はアーシェ。コーとかいう奴じゃない。…観光客か?」
「うん、新婚旅行で来たんだけど、コーがこの村に素敵な工芸品が沢山あるからって言われて来たの。気に入ったら家を買おうねって話をしてて…」
「治療をしたら出て行ってくれ。…本当は家に誰にも入ってほしくないんだ」
――ラスはアーシェの赤い瞳をじっと見つめた。
そしてどうして皆がコハクを見て驚いたのか理由に気付いて納得すると、人気が無くなったところでアーシェが被っているフードを払いのけた。
「!何をする…!」
「どこからどう見てもコーそっくり!こんなことってあるの?声もそっくりだし…背がちょっと違う位かな。匂いも同じかも…」
くんくん鼻を鳴らして首筋を嗅いできたラスにまた見惚れてしまいそうになったアーシェは、家の入り口でラスを降ろすと嗅がれた首筋の部分をマントの袖で拭って感触を消し去る。
「家に入ったら何にも触らないでくれ。約束しろ」
「うん、わかった」
あまりにもラスの返事が早かったのでそれを訝しみながら鍵を開けて中に入った途端――玄関に置いてあった木彫りの鳥の彫刻にラスが触れて歓声を上げた。
「わあ、すっごく綺麗!…あ、触っちゃった」
「…もういい。俺に掴まれ」
怒られたが、もちろん懲りてはいなかった。
ぺろっと舌を出して笑ったラスにまた見惚れそうになったアーシェは、ふいっと顔を背けて静かに深呼吸をした。
だが…何かが違うような気がする。
ラスがじっと見上げていると、コハクと思しき男は一瞬ラスに見惚れてはっとなると、慌ててさらに深くフードを被った。
「コー……じゃないよね?でも待って、すごくそっくり。でも瞳の色も同じだし…よく顔を見せて」
「!さ、触るな!」
ラスが伸ばした手を男がばしっと振り払うと、その拍子で足元が滑って転んだ。
したたかに膝を打ってしまって出血したのと痛みでラスが顔をしかめると、周囲の冷たい視線もあってか、男は仕方なくラスを姫抱っこして村の奥の方へと歩き出す。
「コーじゃなかったら誰なの?名前を教えて。…いた…っ」
「…俺の名はアーシェ。コーとかいう奴じゃない。…観光客か?」
「うん、新婚旅行で来たんだけど、コーがこの村に素敵な工芸品が沢山あるからって言われて来たの。気に入ったら家を買おうねって話をしてて…」
「治療をしたら出て行ってくれ。…本当は家に誰にも入ってほしくないんだ」
――ラスはアーシェの赤い瞳をじっと見つめた。
そしてどうして皆がコハクを見て驚いたのか理由に気付いて納得すると、人気が無くなったところでアーシェが被っているフードを払いのけた。
「!何をする…!」
「どこからどう見てもコーそっくり!こんなことってあるの?声もそっくりだし…背がちょっと違う位かな。匂いも同じかも…」
くんくん鼻を鳴らして首筋を嗅いできたラスにまた見惚れてしまいそうになったアーシェは、家の入り口でラスを降ろすと嗅がれた首筋の部分をマントの袖で拭って感触を消し去る。
「家に入ったら何にも触らないでくれ。約束しろ」
「うん、わかった」
あまりにもラスの返事が早かったのでそれを訝しみながら鍵を開けて中に入った途端――玄関に置いてあった木彫りの鳥の彫刻にラスが触れて歓声を上げた。
「わあ、すっごく綺麗!…あ、触っちゃった」
「…もういい。俺に掴まれ」
怒られたが、もちろん懲りてはいなかった。
ぺろっと舌を出して笑ったラスにまた見惚れそうになったアーシェは、ふいっと顔を背けて静かに深呼吸をした。