魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
赤い瞳は不吉の証――

そのために赤子だったコハクは両親に水晶の森に捨てられたのだ。

…きっとアーシェもつらい思いをして生きているはず。

そう思うと可哀そうになって、他人事ではいられなくなったラスは、アーシェの頬を撫でてぞくっとさせた。


「コーもね、瞳の色が真っ赤なの。でも魔法使いだからここに来る前に瞳の色は濃紺にしてるんだけど、みんながコーを見て驚いてたのはアーシェと勘違いしてたからなんだね」


「…俺は厄介者なんだ。でも両親が家を遺してくれたから、ここを守っていきたい。だから阻害されても離れたくないんだ」


「偉いね。コーは赤ちゃんの時に水晶の森に捨てられたの。コーもアーシェもこんなに綺麗な瞳の色してるのに…。私は迷信なんて信じてないから」


アーシェは頬にふれているラスの手を剥がすと、眉を潜めた。

そして話を総合すると――ひとつの事実に突き当たる。


「そんな…でも計算が……」


「?どうしたの?」


片手で口元を覆って絶句しているアーシェを見上げていると――ドアが突き破られそうなほどに強いノックの音が聞こえた。

こうして家に訪ねてくる者は皆無に等しいので、アーシェはラスを椅子に座らせてドアの前に立ち、声を張り上げた。


「何の用だ!依頼なら断る!」


「そこに金髪の天使みたいに可愛い女が居るだろ!?ここを開けろよ。開けねえとぶっ壊すぞ」


声に含まれる怒気に本気を感じたアーシェがドアを開けると――まるで鏡を見たかのようにそっくりな姿をした男が立っていて、お互い硬直した。


「な…なんなんだよお前…。お前がアーシェか?」


「お前こそ…お前がコーって奴なのか?」


「あ、コー!さっき転んじゃって、通りがかったアーシェが手当てをしてくれたの。ね、すごいでしょ?そっくりでしょ?鏡を見てるみたいでしょ?」


はしゃいでいるのはラスだけで、コハクはあまりにもそっくりなアーシェを不気味に思い、アーシェは瞬きを忘れたかのようにコハクを見つめて声を震わせた。


「水晶の森に…捨てられていた?」


「…昔の話だ。チビに聞いたのか?それがなんなんだよ」


ラスに腕を引っ張られて家の中に引きずり込まれたコハクが問うと、アーシェは肩で大きく息をついて、顔を上げた。


「…見せたいものがある。こんな偶然ってあるのか…?これって偶然なのか…?」


コハクは瞳の色を変えていた魔法を解いて、アーシェと見つめ合う。


他人とは思えない何かを感じていた。
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