魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
コハクは玄関を入ってすぐのところで立ちどまり、腰に手をあてて大胆不敵な笑みを浮かべていた。
自信たっぷりの様子にアーシェが首を傾けると、何をするのか気付いたラスがコハクの腕に抱き着く。
「コー、今から魔法を使うんでしょ?お掃除の魔法?」
「そ。えーと物は動かさずに床や天井や家具を綺麗にすりゃいいんだよな。チビ後で細かいとこは一緒に掃除するぞ」
「うん、わかった!アーシェ、しっかり見ててね。もう魔法を使えるのはコーしか居ないんだから」
――コハクは水晶の森に捨てられた後、両親が願った通り魔女と呼ばれていたローズマリーに拾われて、魔法使いとして育ったこと…
昨晩一緒にワインを飲みながらその事実を聞いていたアーシェは、一族から魔法使いが出たことを誇りに感じていた。
「ちなみに詠唱破棄っていって詠唱無しで魔法使えるんだぜ。すげえだろ!それに…」
「コー、早く早く!」
せっかくアーシェに自慢しまくりたかったのにラスに急かされて仕方なく後で自慢しようと決めたコハクは、一瞬にして精神統一をすると、ぱちんと指を鳴らした。
一瞬家の中がぴかっと光ったので反射的に瞳を閉じたアーシェは、部屋の空気がいつもより澄んでいることにすぐ気付いた。
「埃っぽくない…。…うわ……すごいな…!」
目を開けると――元々白かった壁紙は劣化して黄色くなっていたのだが、まるで新品同様に真っ白になり、それだけではなく軋んで黒ずんでいた床や、あちこちに蜘蛛の巣が張っていた天井もまるで新築のように綺麗で、アーシェの口があんぐりと開く。
「ね、すごいでしょ?コーはなんでもできるんだから」
まるで自分のことのようにコハクを自慢して胸を張っているラスも可愛らしく、キッチンやバスルームを覗きに行ったアーシェは、家そのものが新築のようになってしまったことに驚きを隠せない。
「後は細かいところを掃除して、家に魔法をかけて誰も入れねえようにする。それでいいだろ?」
「そんなことできるのか?…お前にならできるかもな」
「じゃあ一緒にグリーンリバーに帰れるよね?あのね、デスっていう居候も居るから遠慮なんかしなくていいよ。住みにくかったらまたここに戻ってこればいいし…駄目?」
アーシェはまた込み上げてくる微笑を隠さずに、その笑みをラスに向けてぽうっとさせた。
その笑みが、答えだった。
自信たっぷりの様子にアーシェが首を傾けると、何をするのか気付いたラスがコハクの腕に抱き着く。
「コー、今から魔法を使うんでしょ?お掃除の魔法?」
「そ。えーと物は動かさずに床や天井や家具を綺麗にすりゃいいんだよな。チビ後で細かいとこは一緒に掃除するぞ」
「うん、わかった!アーシェ、しっかり見ててね。もう魔法を使えるのはコーしか居ないんだから」
――コハクは水晶の森に捨てられた後、両親が願った通り魔女と呼ばれていたローズマリーに拾われて、魔法使いとして育ったこと…
昨晩一緒にワインを飲みながらその事実を聞いていたアーシェは、一族から魔法使いが出たことを誇りに感じていた。
「ちなみに詠唱破棄っていって詠唱無しで魔法使えるんだぜ。すげえだろ!それに…」
「コー、早く早く!」
せっかくアーシェに自慢しまくりたかったのにラスに急かされて仕方なく後で自慢しようと決めたコハクは、一瞬にして精神統一をすると、ぱちんと指を鳴らした。
一瞬家の中がぴかっと光ったので反射的に瞳を閉じたアーシェは、部屋の空気がいつもより澄んでいることにすぐ気付いた。
「埃っぽくない…。…うわ……すごいな…!」
目を開けると――元々白かった壁紙は劣化して黄色くなっていたのだが、まるで新品同様に真っ白になり、それだけではなく軋んで黒ずんでいた床や、あちこちに蜘蛛の巣が張っていた天井もまるで新築のように綺麗で、アーシェの口があんぐりと開く。
「ね、すごいでしょ?コーはなんでもできるんだから」
まるで自分のことのようにコハクを自慢して胸を張っているラスも可愛らしく、キッチンやバスルームを覗きに行ったアーシェは、家そのものが新築のようになってしまったことに驚きを隠せない。
「後は細かいところを掃除して、家に魔法をかけて誰も入れねえようにする。それでいいだろ?」
「そんなことできるのか?…お前にならできるかもな」
「じゃあ一緒にグリーンリバーに帰れるよね?あのね、デスっていう居候も居るから遠慮なんかしなくていいよ。住みにくかったらまたここに戻ってこればいいし…駄目?」
アーシェはまた込み上げてくる微笑を隠さずに、その笑みをラスに向けてぽうっとさせた。
その笑みが、答えだった。