アウトサイダー
「あっ、えっと……柊紗知です。あっ、池森……」
「さっちゃん、柊でいいから。
まだ池森じゃないんだし、そんなこと気にしない。
千島も知ってるから」
コウさんは、慌てた私を見て豪快に笑った。
柊は母の旧姓だ。
父から逃れた時に柊を名乗るようになったのだ。
「紗知ちゃんの自慢話は、耳にタコができるほど聞いていますよ。
池森さん、ホントにかわいい娘ができたって、喜んでるんです」
「えっ、そう……なんですか」
驚いた。
ずっと身をひそめて生きてきた私にとって、そんな風に紹介されることがあることが、不思議でたまらない。
だけど、コウさんのそんな様子を見て、私の固く閉ざされた心は少しずつ開いてきたように感じていた。
コウさんをお父さんとして、認識し始めていたというか……。