アウトサイダー
私は名刺を受け取りながら、自分の携帯を知らせるべきか考えた。
だけど、どうしてもできなかったのは、そうすることが彬さんへの裏切りだと……思ったからだ。
「太陽、ありがとう」
それしか言えなかった。
ありがとう……心から。
ずっと私を守ってくれる神様みたいな人。
「それじゃあ」
今度そう言ったのは、太陽の方だった。
まるで、帰る一歩を踏み出すことができない私を知っているかのように。
伝票を持った彼がレジに向かう。
「あっ、私……」
「昔とは違うんだぞ? これくらいかっこつけさせろよ」
昔とは……アウトサイダーだった昔とは?
私たちは、もうよそ者ではなくなったの?