アウトサイダー
「ごちそうさま」
「あぁ、紅茶くらいで。またな。今度はケーキな」
「――うん」
はたして、私たちに「また」があるのかどうか。
彼が私の誕生日に、お金がないのにショートケーキを買ってくれたことを思い出す。
私たちは、変わったんだね。
だけど、彼がくれた携帯の番号が私を穏やかにした。
鞄の内ポケットに、名刺をしまう。
彼にもらったあのキーホルダーと一緒に。
きっと、また会える。
会える?
彬さんという恋人のいる私が、また彼に会う事なんて……。
駅の入り口で、一瞬目を合わせて彼を感じる。
本物だ。
ここにいるのは、本物の太陽だ。
今度は小さく会釈して、私のほうから離れた。
振り返ることができなかったのは、きっと彼が見ているはずだと思ったから。
彼は、そういう人だ。
いつも私を見ていてくれる。
そういう……。