アウトサイダー
蛇に睨まれた蛙のように、少しも動けない。
ただ彼が私の方に歩み寄ってくる姿を、じっと見つめることしかできない。
彼は私の目の前まで来た後、一瞬鋭い眼で私を見つめ、やっぱり手首をつかんで歩きはじめた。
交わす言葉がなくとも、そのつながった手から彼の言葉が聞こえる気がする。
太陽の温かい言葉が。
駅前から少し外れた駐車場で、彼は私を手放した。
「乗って?」
「えっ?」
「早く」
彼に急かされて助手席に座ると、彼はすぐに車を発進させた。
「太陽の、車?」
「そう。ないと不便だし」
社会人になった彼が、車を持つことなんて不思議じゃない。
だけど、毎日自転車で遠くの学校まで通い続けた彼が、今、ハンドルを握っていることがなんだか信じられない。